【No.101】「ワンちゃんの嗅覚はPCRを越えることができるか? – 次世代の新型コロナウイルス検査」

盲導犬、聴導犬、介助犬、救助犬などいろいろな方面で活躍しているワンちゃんたちがいます。

今回は、ワンちゃんをトレーニングして、唾液や気管気管支の分泌物の匂いから、新型コロナウイルス感染の有無を嗅ぎ分けるというドイツからの報告を紹介します(参考文献1&2)。以前、ワンちゃんの嗅覚に関して、ブログNo.86 & 98でも書いています。

研究に参加した8頭のワンちゃんは、7人の新型コロナ感染の患者さんと7人の非感染者から採取したサンプルで訓練を行いました。83%の確率で陽性を見つけることができ、陰性の方は96%で判別できるようになったそうです。

PCR検査でも陽性を陰性と間違えたり、陰性を陽性と間違えることもあります。同じサンプルを複数回繰り返した場合、その結果が違って出る割合は、2 – 33%の範囲と言われています。イギリス政府が報告しているPCRの擬陽性(陰性なのに陽性と出ること)は、4%くらいです(参考文献2)。

今回報告されたドイツの研究では、サンプル数が少なく、新型コロナの影響による臭いというより、採取後に調製されたサンプルの特定の臭いをかぎ分けているのではないかとも言われています。このような研究を世界各地で本気で行っているわけですから、研究っておもしろいですね。

未発表の他の研究ですが、フランスのグループは、8頭のワンちゃんをトレーニングし、198人の汗を使ってワンちゃんの実力を示す実験を行いました。約半数が新型コロナ感染者のサンプルが含まれているものを使ったということです。83 – 100%の確率で陽性者を見つけることができたそうです。

その他では、フランスとレバノンの共同研究がベイルートで行われました。空港で1,680人を対象に行ったところ、18頭のワンちゃんたちが158人の新型コロナ陽性者を見つけたそうです。PCR検査を行ってその真偽を確かめ、陰性の方は100%PCRの結果と一致し、陽性の方は92%で一致したようです。これってすごくないですか。

今回ご紹介したような論文が発表されたにもかかわらず、現在のところ、ワンちゃんによる新型コロナウイルスの検査は、ほとんど信じられていません。

新型コロナウイルスは人からワンちゃんへ感染することが分かっています(参考文献3 & 4)。ワンちゃんを犠牲にしてまで、新型コロナウイルスの検査をワンちゃんにやってもらうことには反対です。しかし、ワンちゃんの安全が確保されるのであれば、応援します。

将来、もしかしたらPCR検査の前に、ワンちゃんたちによる検査が先行して行われるようになるかもしれませんね。ワンちゃんの新型コロナウイルス感染の危険がないことをしっかり確かめてから、安全に行っていただくことを願っています。

参考文献
1)    Jendrny, P. et al. (2020) Scent dog identification of samples from COVID-19 patients –a pilot study. BMC Infect. Dis. 20, 536.
2)    Nature 587, 530-531 (2020)
(see “Nature Briefing”, Tuesday 24, November 2020)
3)    Sit, T.H.C et al. (2020) Infection of dogs with ARS-CoV-2. Nature 586, 776-778.
4)    Shi, J. et al (2020) Susceptibility of ferrets, cats, dogs, and other domesticated animals to SARS-coronavirus 2. Science 368, 1016-20

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