【No.85】歯石を取るか取らないか、それが問題?

今回も前回に引き続き「歯、特に歯石除去」がテーマです。

ワンちゃんやネコちゃんと一緒に生活されているご家族で、「歯石が付いていても問題ない?」と思われている方は多いものです。口の中をのぞいてみると歯石を少し確認でき、口の臭いもあまり気にならないから、そのままにしておこうと思われていませんか。

「歯石を取ってもすぐに付くから、そのままにしておこう」とか「歯がぐらぐらして、そのうち抜けるので、そのままでいい」など、いろいろ考えの方がおありです。中年以降のワンちゃんやネコちゃんでは、歯石がびっしりついていたり、歯がぐらぐらしていたり、口臭がひどい状態でも放置されている子が多くいます。口の中の処置をする場合、全身麻酔が必要で、その分、治療の費用も高くなってしまします。ヒトの場合、健康保険を使って、少し痛さや怖さを我慢すれば、全身麻酔なしで歯の治療をしていただけますから、大きな違いになります。

最近、気になったいくつかのご質問にお答えします。

1)「歯茎が赤くなっていても、食欲も変化なく痛そうにしていないので、治療の必要なし」と思われている方が多くおられます。

ご家族やお友だちの歯の痛みは分からないのと同じで、歯茎が赤い場合は、間違いなく口の中の違和感があります。ほとんどの場合、程度はまちまちですが痛みがあると思ってください。しかし、食べることが大好きなワンちゃんやネコちゃんにとって、口の中の痛み以上に食欲が勝(まさ)っているということです。口の痛みがなく、気持ちよく食事をたべさせてあげたいと思いませんか。

2)「歯石を取ってもすぐに付くからそのまま放置する」という方もおられます。

歯石をしっかり取ってあげると歯石は付きにくくなります。歯石を取った後は、しっかり歯磨きを丁寧にしてください。ということは、歯石を取る前から、歯磨きの習慣をつけておくことが重要です。

3)「歯石を取ると、さら歯石が付きやすくなる」というような声もあります。

歯石が付いているところにさらに歯石が付く様子をご家庭で観察することは難しいものです。しかし、歯石を取ってきれいな歯になった後、徐々に歯石が付く様子は比較的簡単に観察できるためです。どのような歯石の状態でも歯石の付き方には大きな差がありません。

4)「歯石が気になったので、無麻酔で安全に歯石を取ってもらいたい」
5)「麻酔が心配だし、費用が高いので、麻酔なしで歯をきれいにしてもらいたい」
6)「歯がぐらぐらしているが、無麻酔でどうにかしてほしい」

などなど、麻酔が心配というご質問です。

ワンちゃんやネコちゃんを無麻酔で、安全に歯石をとることや歯科の処置を行うことはできません。よほど強い力で押さえつけて(虐待!)、危険を顧みず行うというのであればできるかもしれません。刃物のようなもので歯石を取る必要がありますから、動物も人もケガをする可能性があります。また、ワンちゃんやネコちゃんはこの恐怖で、それ以降、口や口の周辺を触らせてくれなくなりことがあります。当然、歯磨きも嫌がるようになります。これでは、だれもなにもいいことがありません。

麻酔リスクはゼロではありませんが、安全な麻酔で歯石をきれいに取ってあげることで、ワンちゃんやネコちゃん、さらにご家族も一緒に気持ち良く生活できると思います。

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